▪︎竹細工の美しさ、幅の広さ
竹細工にはいくつかの種類がある。山に生えている竹をそのまま使う青竹を使った道具としての竹細工、油抜きをした白竹を使ったクラフト系の竹細工、繊細な竹の美しさを魅せながら道具としても成立させる美術工芸系の竹細工、さらにアート系に寄った竹細工。しかし、集まった作家さんたちは一堂に「竹細工の種類にとらわれることはないです。自分の心が引かれるものを使ってください。」と教えてくれた。
青柳慶子さんは繊細なひごを使って大変に緻密な製作をされている。岐部 笙芳先生に師事している彼女は、今回代表作である豆出鉢や食卓に飾るだけでも美しい茶托を出品してくださる。「私は元々とても不器用ですので、難しいと感じることばかりです。竹は材料によって柔らかかったり硬かったりします。それは竹の年齢も関係しますが、竹が生えていた場所の土の性質や雨の当たり方、日の当たり方などでも変わると聞きます。たとえ同じ幅、同じ厚みでひごをとっても、竹の性質によって”この部分には使えない”などの問題が出てきます。常に目の前の竹の性質を感じ、少しづつ厚みや幅を調整して対応したり、時に別の竹に変えて新しく作り直したり。次から次へと難題が押し寄せるから楽しいのだと思います。」と竹細工の魅力について話してくださった。
別府で竹細工を学んだあと、現在愛媛で活動されている松田由紀さんは角物と呼ばれる竹籠の箱を製作されいてる。竹の淡い色味のグラデーションが美しい角物をさまざまなサイズで作り出されており、今回は新しく格子道具箱も製作してくださった。「素材の美しさを活かしたシンプルでさり気ないものを作りたいと思っていた時の角物との出会いが、竹細工を始めたきっかけでした。角物は江戸時代から豆腐などを運ぶために使われてきた暮らしの道具です。そのシンプルかつ機能的な作りは、現代の様々な生活スタイルにも馴染みます。入れたり出したり。並べたり重ねたり。次第に深く艶を増す竹の経年変化もお楽しみいただけたら嬉しいです。今展では普段使用している白竹に加え、磨いた竹を組み合わせた角物も新たに製作しました。色や質感の違いをご覧いただけたら嬉しいです。」と教えてくださった。
今回直前のお願いとなった近藤雅代さんは大津留交流センターを訪れたあと、別府でお目にかかれた作家である。大変に朗らかなご性格でありながら、作品を拝見すると細部まで行き届いた技術と創造性に溢れている。日頃は和装小物としての網代編みのバッグなどを製作されていているが、今回はやじろべえやモビール、彼女の朗らかな遊び心が感じられる作品を出展してくださる。「竹の美しさは、同じ竹でも色々な方向のものがあります。ここまでダイレクトに自然のままの雰囲気を残しつつ、製品になるのは竹くらいなのではと面白く思います。縄文時代の遺跡からも出土していたり、鳥獣戯画に六つ目の籠が描かれていたりと昔からずっと作られていた籠、世界中でも作られている籠は、とても魅力的です。」と話してくださった。
私が一番感動したのは、その場にいた作家自身が使っている経年変化した竹籠の美しさだ。5年10年と使い込まれた竹籠はなんとも良い表情をしていて、馴染んだ布や皮革のようにその人の暮らしの色が滲み出てくる。今回の展示会ではそんな経年変化した竹籠もお見せできたらと思っている。PETALの竹細工展は今後2,3年に一度はご紹介していきたいと考えている。竹細工を全く知らない方、興味はあるが触れたことのない方、日頃から竹の道具や竹籠を愛用されている方、日本人の暮らしを育ててきた竹細工をその一日だけは、ふと愛おしく見つめてみるのも悪くないのではないかと思う。
竹細工にはいくつかの種類がある。山に生えている竹をそのまま使う青竹を使った道具としての竹細工、油抜きをした白竹を使ったクラフト系の竹細工、繊細な竹の美しさを魅せながら道具としても成立させる美術工芸系の竹細工、さらにアート系に寄った竹細工。しかし、集まった作家さんたちは一堂に「竹細工の種類にとらわれることはないです。自分の心が引かれるものを使ってください。」と教えてくれた。
青柳慶子さんは繊細なひごを使って大変に緻密な製作をされている。岐部 笙芳先生に師事している彼女は、今回代表作である豆出鉢や食卓に飾るだけでも美しい茶托を出品してくださる。「私は元々とても不器用ですので、難しいと感じることばかりです。竹は材料によって柔らかかったり硬かったりします。それは竹の年齢も関係しますが、竹が生えていた場所の土の性質や雨の当たり方、日の当たり方などでも変わると聞きます。たとえ同じ幅、同じ厚みでひごをとっても、竹の性質によって”この部分には使えない”などの問題が出てきます。常に目の前の竹の性質を感じ、少しづつ厚みや幅を調整して対応したり、時に別の竹に変えて新しく作り直したり。次から次へと難題が押し寄せるから楽しいのだと思います。」と竹細工の魅力について話してくださった。
別府で竹細工を学んだあと、現在愛媛で活動されている松田由紀さんは角物と呼ばれる竹籠の箱を製作されいてる。竹の淡い色味のグラデーションが美しい角物をさまざまなサイズで作り出されており、今回は新しく格子道具箱も製作してくださった。「素材の美しさを活かしたシンプルでさり気ないものを作りたいと思っていた時の角物との出会いが、竹細工を始めたきっかけでした。角物は江戸時代から豆腐などを運ぶために使われてきた暮らしの道具です。そのシンプルかつ機能的な作りは、現代の様々な生活スタイルにも馴染みます。入れたり出したり。並べたり重ねたり。次第に深く艶を増す竹の経年変化もお楽しみいただけたら嬉しいです。今展では普段使用している白竹に加え、磨いた竹を組み合わせた角物も新たに製作しました。色や質感の違いをご覧いただけたら嬉しいです。」と教えてくださった。
今回直前のお願いとなった近藤雅代さんは大津留交流センターを訪れたあと、別府でお目にかかれた作家である。大変に朗らかなご性格でありながら、作品を拝見すると細部まで行き届いた技術と創造性に溢れている。日頃は和装小物としての網代編みのバッグなどを製作されていているが、今回はやじろべえやモビール、彼女の朗らかな遊び心が感じられる作品を出展してくださる。「竹の美しさは、同じ竹でも色々な方向のものがあります。ここまでダイレクトに自然のままの雰囲気を残しつつ、製品になるのは竹くらいなのではと面白く思います。縄文時代の遺跡からも出土していたり、鳥獣戯画に六つ目の籠が描かれていたりと昔からずっと作られていた籠、世界中でも作られている籠は、とても魅力的です。」と話してくださった。
私が一番感動したのは、その場にいた作家自身が使っている経年変化した竹籠の美しさだ。5年10年と使い込まれた竹籠はなんとも良い表情をしていて、馴染んだ布や皮革のようにその人の暮らしの色が滲み出てくる。今回の展示会ではそんな経年変化した竹籠もお見せできたらと思っている。PETALの竹細工展は今後2,3年に一度はご紹介していきたいと考えている。竹細工を全く知らない方、興味はあるが触れたことのない方、日頃から竹の道具や竹籠を愛用されている方、日本人の暮らしを育ててきた竹細工をその一日だけは、ふと愛おしく見つめてみるのも悪くないのではないかと思う。